ミスや手抜きを防ぐ現場監理
安心・安全な住宅をつくるために、現場をしっかりと監理しています。
工事は安心できる専門工事業者さんに発注していますが、図面だけでは伝えきれない内容や、納まりなどを的確に反映させるためには、きちんとした現場監理が必要です。また、住宅は一品生産です。つまり人の手で現場において物づくりをするということ。このような状況では、間違いも無いとはいえません。それを無くすためにも現場監理の必要性を痛感しています。みさき建築研究所ではチェックリストに沿って、工程ごとにチェックをしてゆくのを標準としています。それ以外の範囲は個別にチェックを加えてゆきます。概ね、毎週2〜4回程度現場にてチェックや指示をしてゆきます。
これらの監理の中で特に注意すべき工程は、遣り方・基礎工事・構造材発注・構造軸組だと考えています。絶対間違えてはいけない重要な判断を短時間の内にしなければならないことがあるため、そこまでの準備段階(図面でのチェックなど)に十分時間を掛けるようにしています。
具体的な現場監理のポイント
チェックリストより、ポイントを抜粋しました。以下の通り工程に応じてチェックしてゆきます。
地縄張り
建物の大まかな位置、GL設定などについて問題がないか確認します。大まかではありますが、非常に重要なポイントですので建築主に確認して頂く場合もあります。
遣り方
建物の位置、GL設定について細かく確認し、決定します。屋外排水勾配がとれるかどうかも確認します。
基礎根切り底の状態を地盤調査と照合します。地縄時の決定事項をベースにさらに確認します。道路斜線制限や北側斜線制限など配置や高さが厳しい場合とりわけ慎重に行います。
基礎工事
鉄筋のサイズや間隔、重ね長さ、端部の処理、かぶり厚の確認。アンカーボルトの種類と位置。
設備用スリーブのサイズ、位置。コンクリートの品質確認。コンクリート打設のスケジュール、養生方法の確認。
基礎周辺部の下がった部分はジャンカが出来やすい為、打設時には突き棒作業を行い、さらにコンクリート内の空気を出して均一なコンクリートとするため木槌で叩く作業を行います。
真夏の気温が高い時期は、ベースコンクリートを打った後少し固まったところで水を満たして養生する場合もあります。これを冠水養生と言います。
冠水養生により固くて良いコンクリートが出来ますが、立ち上がり打ち継ぎ部に浮遊物が付きます。これを丹念に取り除く必要があります。
構造材発注前、上棟
構造材はプレカット図面と構造図面との照合、図面承認。ジョイント金物チェック。
事務所が作成した構造図とプレカット業者が作成した製作図を相互に何度も調整・修正し間違いのないレベルになるまで作業を進めてから発注します。
構造軸組・屋根
各構造材の取り付け全般を確認します。特に筋交い金物の位置や取り付け具合。
屋根の防水処理について確認します。また建築確認検査機関による中間検査に必ず立ち会います。
他にも、2009年より瑕疵担保履行法により第三者の検査が義務付けられましたが、その検査では全く十分とは言えません。日頃の監理を十分に行う事が品質管理であると考えています。
外壁廻り・防水工事
外壁およびサッシなどの防水処理がきちんとなされているか確認します。この工事が確実でないと漏水の原因となります。雨漏れ対策として徹底的にチェックを行います。
バルコニーがある場合は、排水ドレイン廻り・防水立ち上がり寸法等を確認します。
内部各種工事
塗り壁やタイルの下地状況を検査し、コンセントや照明、スイッチなどの電気設備位置、および給排水器具取り付け位置を確認します。
木工事・給排水工事・電気工事それぞれの調整が十分必要になりますので、位置確認だけでなく相互のコミュニケーションを大切にします。
内部造作
窓枠やドア枠その他造作材の納まりを確認します。特に電気や給排水、家具などとの納まり具合に注意します。図面も万能とは言えないため、現場の状況に応じて調整を行うことも有ります。
現場に設計者の意図を十分に伝えるため、なるべく多くの図面を描くように心掛けています。特に分離発注の場合は、部品図も一つ一つ描いた上で発注しなければならないため、工程に沿って適宜図面を作成してゆきます。
仕上げ工事
内装仕上げをはじめ、造作家具、電気設備、給排水設備などの取り付け状況確認。また、外部や外構についても仕上がりを確認します。
設計竣工検査
建具、サッシなど一式建て付け状況、各種設備機器試運転、外構工事検査を行い、工事費用の増減についても最終確認します。
また、建築確認審査機関による竣工検査にも立ち会います。
施主検査
施主による最終確認に立ち会い。疑問点、問題点など解決してゆきます。
施手直し箇所について書かれたチェックリストは同じものを3部作成し、施主・施工者・設計監理者の三者で問題点を共有します。またいつまでに解決・改善するのかも記載します。
竣工引き渡し
これまでの検査で確認した問題を解決し、引き渡しを行います。家の鍵をお渡しする
時に、保証期間内のスケジュールを説明して、トラブルが生じた場合の連絡先など確
認します。
アフターケア
オープンシステムでは完成引き渡し後、2年目(必須)と10年目(任意)に検査を行います。
2年目までは建物補償制度の工事保険特約が有効です。10年目までは同検査保証制度、生産物賠償責任保険、そして住宅瑕疵保険が有効であるため、それぞれ節目で検査を行うことになっています。